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運営委員長挨拶

 溶液化学研究会は本年で27回(?)の誕生日を迎えようとしています。この27年間で溶液化学研究会は大きく成長すると同時に溶液分野自身も大きな変貌を遂げつつあります。

 そもそも我が国の「溶液化学研究会」はその流れの大きさを別として2つの分野が合流してできたのだと思います。錯体(分析)化学および物理化学(熱測定、分子構造、高圧、理論)がその2つです。しかしながら、その後の化学・物理分野全体の発展の結果、溶液化学分野が境界を接するフロンテイアーは大きく拡がり、蛋白質やDNAなどの分子生物学、有機合成、高分子、電気化学など化学のほぼあらゆる分野の問題がわれわれの研究対象となりつつあります。逆にいうと、化学のほとんどすべての分野の研究者にとって「溶液」は避けてとおることが出来ない問題になっています。このことはさらにこれらの分野で「溶液」や「溶媒効果」の問題を解決するために、必死の努力が行われていることを意味しています。それぞれの分野の中でいわば「ミニ溶液化学」が行われているわけです。その意味で現在は「溶液化学」が独立のひとつの分野として大きな発展をとげるかあるいは他の分野にバラバラに吸収されてしまうかの瀬戸際にあると私は考えています。2003年度より発足した特定研究「水と生体分子」はそのことを象徴する典型的な出来事だと言えるでしょう。「溶液化学」が独立の分野として存在しつづけるためには先に述べた化学、物理、生物の諸分野において溶液が関わる問題に溶液化学者が積極的に切り込み独自の方法論や概念を構築していく必要があるのではないでしょうか。

 この度、中原先生より運営委員長の任を引き継ぐことになりましたが、その責任の重大さに身の引き締まる思いです。会員の皆様の協力を得て「溶液化学研究会」の更なる発展に力を尽くしていく所存ですので、よろしくお願いいたします。

分子科学研究所
平田文男

〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 京都大学大学院理学研究科化学専攻
光物理化学研究室内 溶液化学研究会事務局
Tel: 075-753-4026, FAX: 075-753-4000, e-mail: jimukyoku<at-mark>solnchem.jp
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