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会長就任の挨拶

 平田文男前会長の後を引き継いで、溶液化学研究会の会長を努めさせていただくことになりました岡山理科大学の冨永敏弘です。歴代会長の大瀧仁志、野村浩康、中原勝、平田文男の各先生が作り、育ててこられた溶液化学研究会の歴史を振り返るとき、身の引き締る思いがしています。ひとこと就任の挨拶を述べさせていただきます。

 先ず、昨年3月11日に発生した東日本大震災という未曽有の災害で甚大な被害を受けられた方々に改めてお見舞い申し上げます。 

 本研究会は物理化学、分析化学、無機・錯体化学分野の溶液化学研究者が中心となって1983年に結成されました。それまで電気化学協会の大会や他の討論会と合同で開催されていた溶液化学シンポジウムが第6回目を迎えた年です(野村先生の資料による)。会員の扱う系は単純溶液から複雑系流体まで多岐にわたりますが、本研究会が開催する溶液化学シンポジウムでは、実験、理論、コンピューターシミュレーションを専門とする研究者が一堂に会して活発な議論を行っています。最近は統計力学とともに量子化学も取り入れた理論の進展も目覚しく、理論家と実験家がさらに議論を深めることにより、新しいことが見えてくる日も近いのではないかと期待しています。

 溶液化学の研究は基礎的で一見地味に見える面もありますが、エネルギー問題、放射性物質の分離・除去を含む環境問題、医療・健康問題等の解決に貢献できる可能性を大いにもっていることは言うまでもありません。色素増感太陽電池や燃料電池をはじめとする各種電池の開発、水の光分解による水素発生や人工光合成系の構築、分子認識機構の解明、無機・有機材料や生体適合材料の開発等に対して溶液内反応が重要な役割を演じていることは明らかです。大震災発生後1年を経過した現在も復興に時間がかかっていることにつけても、被災地や日本経済の復興に本研究会がこれらの研究成果を通して少しでも貢献できればと考えています。

 ここ数年で運営委員も世代交代して若返り、多数の中堅・若手研究者が着実に従来の研究を深化・展開されています。これらの成果は、隔年に開催される溶液化学国際会議や毎年開催されるヨーロッパ・日本分子性液体グループ会議(2007年は福岡で開催)等で発表され、国際的に評価されているのはうれしいことです。1982年に箕面で開催された溶質−溶質−溶媒間相互作用に関する国際会議はかなり昔のことになってしまいました。1999年に福岡で開催された第26回溶液化学国際会議に続いて、2013年7月には、京都で第33回溶液化学国際会議が開催されます。多くの会員が参加され、日頃の研究成果を発表するとともに、国内外の研究者と活発な議論・情報交換をして将来の研究に役立てていただくことを期待しています。

 研究会の運営に関しては運営委員長の寺嶋先生にご尽力いただいております。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。  

冨永敏弘
岡山理科大学工学部


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