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会長挨拶

高椋利幸
佐賀大学理工学部

 2025年4月1日から寺嶋正秀前会長の後を継いで、溶液化学研究会の会長に就任することになりました。本会は日本の溶液化学をリードするべく1983年に結成され、私で8代目の会長となります。ここに、ご挨拶を述べさせていただきます。

 地球が創世されてからの長い時間を考えても、水の循環が気象現象を起こし、水が存在したからこそ化学反応が進行し生命が生まれたことは言うまでもありません。この気象や生命誕生に代表されるように、水やその他の液体は、化学合成、物質分離、エネルギー、薬学、医学などあらゆる場面に係わり、その機構の根底に存在します。大局的に見れば、これらのことを科学的に解明することが「溶液化学」と考えます。そして、我々は、液体や溶液が関与するさまざまな事象に興味を持ち研究を進めています。また、研究対象もさることながら研究方法も、種々の分光法、熱測定、X線や中性子散乱法などの実験的手法および統計理論、量子化学計算、シミュレーションの理論的手法など多岐にわたっています。本会の歴史においても錯形成平衡、超臨界流体、タンパク質、イオン液体、深共晶溶媒など「溶液化学」が対象とする事象は日々変化しています。最近ではマシンラーニングに代表されるように人工知能(AI)が研究手法として進出する日も近いことでしょう。

 これらの事象や手法に正しい目で対応し、クオリティーの高い研究を推進していくことが「溶液化学」を研究する我々には必要なことと考えます。固体や気体と比較して、液体や溶液は捉えにくい存在であり、一つだけではなく、複数の手法から得られる情報に基づいて物性や反応を解明することが求められます。このことからも皆様の研究成果を共有する場を提供する役割が「溶液化学研究会」であり、その最も重要な機会が、「溶液化学シンポジウム」であると考えます。それぞれの研究者がメインとする研究対象や手法に関する情報を交換し、コラボレーションにまで進展することを私は望みます。現在、大学を中心とした研究環境は以前と比べて良いものとは言えません。しかし、そのなかでも互いに研鑽・協力して研究レベルを発展させて行こうではありませんか。

 本会では、溶液化学国際会議(International Conference on Solution Chemistry, ICSC)、European Molecular Liquids Group−Japanese Molecular Liquids Group (EMLG−JMLG) Annual Meeting、ユーラシア会議(Eurasia Conference on Chemical Sciences)と連携することで、皆様が研究成果を世界に発表することを推進するとともに、これまで日本での開催も進めてきました。コロナ禍、それに続く国際情勢は決して平穏なものではありませんが、国内に留まらず、国際的に評価される研究成果を発信していくことが必要です。今後も国際会議との連携を進め、皆様がスムーズに参加できるようにご協力いたします。

 会員の皆様のご協力を仰ぎながら、さらに活発な研究会にしたいと考えております。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 そして、このホームページをご覧いただいた多くの皆様が、溶液化学研究会に興味を持たれ、会員として参加されることをお待ちしております。

 なお、研究会の運営に関しては、佐藤啓文運営委員長、木村佳文副運営委員長ならびに運営委員の方々とともに協力して進めてまいります


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分子理論化学講座内 溶液化学研究会事務局
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